2015年5月 秩父鉄道 広瀬川原車両基地にて
去る5月16日、秩父鉄道で開催された「わくわく鉄道フェスタ」に行ってきました。
展示車両はいくつかありましたが、この日限りで引退するデキ107号電気機関車は外せません(写真中央)。
今回の目的はこの機関車ただ1つです。
正直、電気機関車に思い入れがある訳でもありません(いわゆる「カマファン」ではありません)。
また、秩父鉄道大好き人間でもありません。しかし岩手出身の私にとって、107号機は見るべき存在だった。
そう、この107号機は、かつて岩手県の松尾工業鉄道でED501号機として活躍していた機関車なのです。
そして、松尾工業鉄道と深く関わりのあるのが松尾鉱山。
松尾鉱山と言えばかつて硫黄採掘が盛んで、「雲上のパラダイス」と謳われる程繁栄したのですが、
硫黄は徐々に安い海外産に押され、そして石油精製の副産物として採れるようになったことから、
鉱山は硫黄採掘の役目を終え、閉山したのでした。
その鉱石運搬用として敷かれたのが松尾工業鉄道。私は鉱山も鉄道も現役時代を全く知りませんから、
せめてその遺産にでも触れて往時の繁栄を偲びたかった。また一つ松尾鉱山の忘れ形見が無くなるかと
思うと、本当に寂しいなぁ・・・。
松尾工業鉄道のED501号機は閉山後は秩父鉄道に移り、今度はデキ107号としてこれまた採掘した
石灰石の輸送に活躍したのだから、機関車にとっては恵まれていたのかもしれません。
心情的にはせめてそういう風に思いたい。
ともあれ「お疲れ様」と労いましょう。併せて鉄道貨物輸送がまた勢いを取り戻すことも祈念して。