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題名 正しい検図 自己検図・社内検図・3D検図の考え方と方法
著者 中山聡史
発行所 日刊工業新聞社
発行日 2017年8月25日
ISBN978-4-526-07740-1
図面を発行する直前に図面に誤りがないかどうかを確認する作業を検図という。最近、上司が変わったら検図のやり方も変わり、今までと比べて格段に厳しくなってしまった今日この頃。
上司が今までよりもきちんと図面を見てくれるのは勿論歓迎なのだが、しかし、自分がチェックしたという証拠をすべて紙に書いて出せ(或いはプリンタで出力しろ)と言う。ペーパーレスが叫ばれているこの時代に、なんて面倒な・・・。当事者間で合意が取れていればそれで良いのではないか?内心そういう不満もあったのだが、ともあれ検図の煩わしさに辟易したのが原動力となって、この本を読むに至ったのである。
あるべき検図の姿とは一体何か。検図というかなりマニアックな分野であるにも関わらず、具体例が示されているところが有難い。汎用的な一般論では納得し難い私にとってはこれが本書を選ぶ決め手となった。
具体例と言えば、この図面の中にある3つの間違いを探してみようという挑戦的な問題があった。私は一つしか答えられなかった。答え合わせすると「なんだそんなことか」と呆気無いほど簡単な間違いだったのだが、答えられなかった2つの間違いは図面だけを見ていては決して気づくことは出来ないものだった。成程、検図はこれから発行する図面だけを用意して出来るものではないのである。
それに気づいて以来、私は検図の際には自然と関連資料を漏れなく揃えられるようになった。自席とプリンターとの往復回数は間違いなく増え、資料の束はダブルクリップを目一杯開いて閉じる位に分厚くなった。紙資源を浪費していないか・・・という不安はあるものの、上司から資料を追加要求される状況は確実に減ったと感じている。
それからもう一つ。効率的な検図という点では、「手本図」という言葉を知ったことも大きな収穫だった。大半の設計は流用設計だと思うのだが、流用元の図面はあってもその図面が手本と言うにふさわしいかと言われるとそうでない場合の方が多い。流用図を見ながら描いていると、迷うことが多々ある。「こんなところまで細かく描く必要ある?」、逆に「情報欠落していると思うけど本当に大丈夫なの?」とか。上位職制の検図スタンスが前例踏襲主義なのを考えると、作図者としては意外と悩ましい問題だったりする。
三連休も残り1日。休みが明けたら、作図・検図と追われる日々がまた始まるのだ!