やまびこ停車場

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「生まれ変わり」を科学する 大門正幸著

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題名 「生まれ変わり」を科学する
著者 大門正幸
発行所 桜の花出版
発行日 2021年11月11日
ISBN978-4-434-29667-3

 

 あけましておめでとうございます。

 

 新たな一年。生まれ変わったつもりという感じで、今年の読書感想はこの一冊からいきましょう。所謂「過去生」というものに焦点を当てた一冊。自分が生まれる前の記憶を持っているという人の証言が紹介されています。

 

 こういうスピリチュアルなものは、何はともあれ信用が一番。同じ現象でも誰が語るかで印象がガラリと変わると思うのです。私は過去生はあると思っている人ではありますが、この著者とこの出版社からでなければ、私もきっとスルーした事でしょう。


 ということで、書いてあることに偽りがないという前提で読んだ訳ですが、想像以上の分析が為されていることに改めて驚きを隠せません。

 

 2000例超の過去生記憶のデータベースを統計的に分析。これが科学的と称される所以だと思いますが、単なる記憶に基づく事実(例えば出身国や性別、利き手、写真がある場合は顔が似ているか・・・など)だけではなく、本人の気持ち(例えば、過去生の家族に会いたいか)など、聞き取りで調べられることはほぼ調べ尽くしている徹底ぶり。

 

 もう一つ衝撃的だったのは、なぜ過去生記憶を持っているかと言う考察について。所謂心的外傷を受けたような事になって本来の忘却メカニズムが働かないと書いてあったのですが、これが実に説得力があるのです。

 

 というのも語られた過去生の内容は結構壮絶なものが多く、中には我々が良く知っている事件の当事者(被害者)と思しきものも幾つかあります。総じて興味深い内容であった一方で、ずっと緊張感を覚えながら読んでいました。また、自分と同世代の人の証言もあって、不思議なリアリティーも感じたものです。

 

 それにしても、生まれ変わりは「輪廻転生」いう言葉があるくらいだから仏教の専売特許だと思っていたのですが、とんだ大間違い。仏教圏以外でもたくさん見つかった地域があって、とにかく本書の最初から最後まで驚きだらけ。過去生というものに抵抗を感じない方は、とても興味を持たれる一冊でしょう。

 

 地域を超えて生まれ変わりが起こると広く認知されれば、争い事や格差は減るのではないでしょうか。裕福な家庭から貧しくなる家庭へ、侵略する国から侵略される国へ生まれ変わる、そんな可能性を秘めているのだから。新たな一年がどうか安寧でありますように。