やまびこ停車場

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サイコパス 中野信子著

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題名 サイコパス
著者 中野 信子
発行所 文藝春秋
発行日 2016年11月20日
ISBN978-4-16-661094-5

 

 ここ数年の間だろうか、サイコパスと言う言葉を見聞きするようになったのは。

 

 小学生の頃に超能力ブームがあって、サイコキネシスとかそういう言葉も流行っていた。なので「サイコ○○」という言葉には人並み外れた何か特異なものを感じるところがあるのだが、もちろんサイコパスは超能力とは全く関係がない。常軌を逸しているという点では偶然の一致を見い出せるのかもしれないが・・・。

 

 サイコパスの特徴は「恐怖心や不安を感じにくい」、「共感性がない」、「良心がない」、「罰に懲りない」など説明を挙げればキリがないが、一番印象に残ったのは「譫妄なき狂気」という表現である。本書の最初のほうに「殺人者と好青年の間を平然と行き来」したというサイコパスの残酷なエピソードが紹介されていたが、そういうのを読むと的を射た表現だと言わざるを得ない。

 

 世の中には良心が通用しない人がいるようで、にわかには信じ難く、また信じてあげたいのが人情でもあるが、一方で脳科学者である著者の解説を読んでいると、原理的にそのような人は存在してもおかしくないと認めざるを得ないところもある。

 

 「サイコパスは犯罪と結び付けられて語られてきました」とあるように、多数のエピソードは犯罪絡みのものである。正直読んでいて陰鬱にさせられるが、その中で面白いと思ったのは、織田信長は勝ち組サイコパスではなかったのかという見解を示した点である(ちなみに、負け組サイコパスは犯罪者を指すらしい)。

 

 著者がどれくらい信長の事を調べ上げたのかは知らないが(私だって世間並みの知識しか持ち合わせていないのだが)、信長がサイコパスだとすると、全て辻褄が合うように思えてならないのである。そういう設定で時代劇やドラマを作ったら、意外とハマるのではなかろうか?