やまびこ停車場

ただいま、過去に投稿した記事の一部を非公開にしております。

ウイルス ミクロの賢い寄生体 Dorothy H. Crawford著

f:id:Yamabiko-station:20220320140206j:plain

題名 ウイルス ミクロの賢い寄生体
著者 Dorothy H. Crawford
監訳 永田恭介
発行所 丸善出版
発行日 2014年4月25日
ISBN978-4-621-08816-6

 

 新型コロナウイルスについて人はいろいろ言いますが、雑多な情報が爆発的に広がる今こそ、ウイルスに関する信頼できる本を読みたいところです。

 

 私は高校時代に生物を学ばなかったので、読むなら入門者でも分かり易そうな新書と決めてました。幾つか出ているようですが、選んだのは丸善出版の「サイエンス・パレット」シリーズ。「監訳者まえがき」が秀逸で、読む動機のみならず、読後の感想も見事に代弁してくれています。

 

本書を読もうと思われた方の根本的な興味、あるいは疑問は、「ウイルスって何?」だと思います。読む前にそう思った方は、本書を読み終えた後に、また同じように考えられるのではないでしょうか。そのような読後感は、ウイルスというものを病気という身近なことから漠然と知りながら科学的にはご存じない方も、ある程度はウイルスについて知識を持たれた方も、等しく抱かれるのではないかと思います。


 内容もさることながら、翻訳者の顔ぶれも凄い。東大・京大・国立感染症研究所等の最先端のメンバーが名を連ねています。高が一冊の一般人向け新書に、日本のウイルス学の叡知をここまで贅沢に使ってよいのか!?と思う程に。

 

 逆にそれが内容の信頼性へと繋がっていく訳ですが、原著者は一人ですが、何人もの専門家のお墨付きがあるも同然です。

 


 さて、ウイルスは手(更に言うと皮膚の表面)には感染しません(但し傷ついた皮膚からは感染する)。無知な私にこれは驚きの事実でした。手洗いが推奨されるのは、手に感染するからではなく、ウイルスが付いた手で目や口を触るとそこからウイルス入り込むからなのだそうです。


 そしてウイルスは生きた細胞の中でしか増殖できません。宿主の居ないところでは勝手には増えず、宿主に感染して初めてウイルスの増殖が可能になる。なるほど、政府が人との接触を8割減らせとしつこく喧伝しているのは、ここから来ているのか・・・。

 

 マスクに、手洗いうがい、アルコールなど様々な感染防止策が謳われていますが、「人に会わない」に勝るアクションは無い事が良く分かりました。

 

 今年は例年よりも期間が長いゴールデンウィークで、帰省したいのはやまやまだけど、観念して大人しく家に引き籠もって居ましょうか・・・。未だ感染者数ゼロの岩手県に、ウイルスを持ち込んだと非難はされたくない。

 

2020/05/01投稿
2022/03/20更新